〜心とからだの不調 ぴり辛アドバイス〜
安治郎さん、そこを何とか！ 〔 梅雨のすごし方 〕
編集 ひと月ぶりです、先生。よろしくお願いします。
前回、５月にお話いただいた時は「冬に“腎”を大事にしないと
春イカンですよ！」ということでした。
安治郎 そうですよ！！
編集 あ、お元気ですね。
安治郎 ツケは春に回って。春だから“肝”を働かさなきゃいけないのに
うまく働けなくなっちゃう。
こういう人はね、初期は怒りやすい、イライラ、もっと症状が
過ぎるとクヨクヨしちゃう、それで五月病が増えちゃう。
編集 きょうは梅雨の健康管理についてアドバイスいただきたいんです。
安治郎 梅雨時期っちゅうのは…
（しばし沈黙）
編集 この静寂には慣れました。全然待てます。
（茶を飲む安治郎）
安治郎 夏のはじめ。…梅雨っちゅうのは…。初夏
編集 ええ。
安治郎 …
編集 …
安治郎 だからなんですか？
編集 先生、こちらが聞いてます。
梅雨時期の健康管理についてのお話を。
安治郎 あ、そ。
…
わしが言うのか。
編集 ええ。そろそろお願いします。
安治郎 今の時期は、春と夏の間、陰陽五行の古典に基づいた「土」の
時期にあたります。
「体重節痛、たいじゅうせっつう」と言いますね。
この季節の不調は体が重くてだるい。
また、関節が痛んだり炎症をおこしたり、関節の可動域が狭く
なったりします。
編集 高すぎる湿度が悪さをするんですね。
安治郎 “脾”が危ないんだ。
編集 脾臓の脾ですか？
安治郎 引っかかったね、そうではない。
編集 うぐ。
安治郎 古典において、脾は「消化吸収能力」を指します。
脾というのは多すぎる湿気を嫌う。
編集 なるほど。
安治郎 そして梅雨というのは体内の水分代謝が悪くなってね。
そうするとどうなる？
編集 どうなりますか？
安治郎 あ？
編集 急に耳が遠くなったんですか？
安治郎 そんなわけないでしょ。
編集 …
安治郎 そうするとやっぱり胃腸に不調が出やすくなります。
さっきの話に出てきた陰陽五行は…
味覚、あるでしょ？ 甘い酸っぱい辛い、というね。
編集 味ですね。
安治郎 「酸」「苦」「甘」「辛」「しょっぱい」の５つの味覚によ
っても陰陽五行は表される。
その考えに基づいて鍼治療を行っております。
「土」の季節は味覚で言うと、なあんだ？
編集 そうですねぇ。
甘い、とか？
安治郎 そ。あんたは天才だね。
特にもともと脾の弱い人は、こういう時期になると甘いものを
食べたがる。
が、逆効果です。いけません。
編集 なるほど。
梅雨時期は甘いものに注意、と。
安治郎 控えめがいいでしょうね。
どうせ食べるなら洋菓子よりも、和菓子がいい。
編集 食べるなら和菓子、と。
ほかに気をつけることは？
安治郎 冷たいものはあまり飲まないほうがよい。
編集 なるほど。
安治郎 女性はやはり冷えに用心したほうがいいだろうな。
編集 なるほど。
先生、そうなるとですよ。
陰陽五行に基づいて、自分は脾が弱いというのがわかればですよ。
なにか心がけたり処置して、そこを強化すれば健康に過ごせるって
ことですよね！
安治郎 その考え方ははっきし言って正しくない。それは短絡的、という。
現代人特有だな。さっきは天才と言ったのは撤回する。
編集 あ、嫌われた。
安治郎 相克関係というのがありますからね。話はそう簡単ではない。
編集 うぐ。
では次回は、相克関係近辺のお話をお願いします。
安治郎 さやえんどう持ってくかね？
編集 ええ、それはもうぜひ。もちろん…？
安治郎 初もん。
[9回]
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