第7話

　
《　林田元樹　１　　〜メール、一部電話〜　》

　受信　まゆ
　　　会って話したい
　　　いつならいい？
　　　放置したら家行くから


　受信　りえ
　　　えー
　　　仕事ってゆったじゃーん
　　　美容院の予約入れちゃたあよ


　受信　ゆうき
　　　お疲れさま
　　　木曜日の夜２時間くらい会えそうなの
　　　旦那、飲み会だって


　送信
　　　莉絵に会いたい
　　　何時ならい？


　受信　りえ
　　　しゃーねーなー
　　　じゃあ、８時で
　　　どこ行く？


　送信
　　　タルカはどう？
　　　マスターにＧＡＮＴＺ返さなきゃいけない


　受信　りえ
　　　９時すぎないとやってなくない？


　送信
　　　最近わりと早いよ


　受信　りえ
　　　そうなんだぁ
　　　わたし迎えに行く？
　　　高田だよね？


　送信
　　　莉絵は次の日バイト？


　受信　りえ
　　　うん、午後からだお～


　送信
　　　じゃあ飲みなよ
　　　おれ迎えに行く


　受信　りえ
　　　？？
　　　もとき飲まんの？


　送信
　　　ゆうちゃんおつかれー
　　　今週？
　　　子供ちゃんは？


　受信　ゆうき
　　　そう、今週
　　　木曜ね
　　　けーちゃん寝かしていく


　送信
　　　え、いいの？


　受信　ゆうき
　　　へーき
　　　寝たら起きないから
　　　いい子なの、親に似ず～


　受信　あみ
　　　こんばんは
　　　今って電話してもいい？


　送信
　　　かけてかけて！





　「もしもし？」
　「おつかれ。林田君、もう家？」
　「ああ、珍しくサクサクいって。天気もよかったしツイてた。亜美ちゃんは？」

　

　「やっとだよー。いま会社の駐車場なん。」
　「おつかれおつかれ。亜美ちゃん家どこって言ったっけ？海側？」
　「うん、大潟だよ。」
　「おれバカだし、あそこらへんごっちゃになんだ。」



　「仕方ないよ、地元金沢だもん。」
　「バカにしてるっしょ。」
　「してないしてない。」
　「よそ者を小バカにしちゃいけねーよ。」
　「性格ひねくれてるね、ふふ。」
　「おれ？」
　「おれしかいないでしょ。」
　「ＣＤきいた？」
　「あ、そう、そうなんだ、お礼言おうと思って、電話で。ホント８曲目ヤバいね。よかったよー。」

　

　「じゃあ、感謝の心を込めて、今から返却に来てもらおうか。」

　

　「え？」
　「態度で示しての感謝だべ。」
　「へぇ？」
　「借りた者の最低限の礼儀でしょ。」
　「これから？」
　「そう。」
　「えー。へへ、ムリだよぉ。」
　「亜美に会いたい。」
　「…」
　「キスしたい。」

　

　「…」
　「泊まり行っちゃう？」
　「…」
　「やだ？」
　「…急だね。」
　「やめとく？」

　

　「うーん。…ちょっとまだ早いかも。」
　「ふぅん。や、今夜じゃなくても全然。いつでも。待つよ。」
　「…」
　「でも今週はあと会えないかもしんない。」
　「え、そうなん？」
　「ちょっと難しいかな。」
　「…」
　「もしもし？」
　「…」
　「もしもーし。」
　「１５分くらいで行ける。」
　「迎えに行くよ。」

　






　送信
　　　飲むよ、代行よぶー


　受信　りえ
　　　タルカの後ってホテル？

　　　
　送信
　　　いこー
　　　ねえ、ちょい友達と会ってくるわ


　送信
　　　木曜たぶん会える
　　　ちょっと待ってて


　送信
　　　来れるもんなら来いよ
　　　でも、ほかに女いねーし


　受信　りえ
　　　気をつけて、いってらっしゃい


　受信　ゆうき
　　　はーい


　受信　まゆ
　　　信じない

　

　※絵文字等は省く